稽古日誌 #198

茗荷だけのサラダと、稽古場でしか得られない感覚

茗荷だけのサラダと、稽古場でしか得られない感覚|劇団カスタリア 稽古日誌#198

9月12日の稽古日誌を担当します、田中あゆみです。

台本を手に、稽古場の床で本読みをする田中あゆみ|劇団カスタリア 稽古日誌#198

今年の作品は、『金曜日の食卓』です。

まず「金曜日」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?
私はいろいろと浮かぶのですが、楽しいことならば花金です
しんどいこともやるせない気持ちも押し殺しながら、一週間働き抜いたこの国の大多数のサラリーマン、サラリーウーマンにとっての安堵と解放の曜日、なのではないでしょうか。

稽古場の休憩中、顔を見合わせて笑う2人の出演者|劇団カスタリア 稽古の合間
椅子を並べて座り、同じ方向を見ながら談笑する出演者たち|劇団カスタリア 稽古の合間

もう一つ浮かぶちょっと怖いイメージは、13日の金曜日。
大学生時代のアルバイト先に尊敬するBOSSがいたのですが、「私は13日の金曜日は危険やけなるべく外に出んし、外出しとったら早く帰るようにしとる。」と大真面目におっしゃったのを聞いて以来、13日の金曜日は一刻も早く帰宅するようになりました
しかし、そんなジェイソンみたいな怖いことよりも、金曜日って明るいイメージの方が大きいので、早く帰るけれど私は金曜日が好きです。

笑いながら振りを合わせる3人の出演者|劇団カスタリア ダンス稽古

次に「食卓」と聞くと、どんなことが浮かぶでしょうか。
やっぱり一番は、食べ物です。
美味しい食事はたくさんありすぎますが、私は日本の薬味という薬味が大好きです
家ではメインと同じくらい、好きなだけ薬味をぶっかけます。
中でも茗荷って特に好きなのですが、スーパーに並ぶ茗荷のパックって、皆さん足りてますか?
あまりにも少なすぎやしませんか?
そんなことに日々思いを馳せていたところ、ある時茗荷の大容量袋を発見しました。
もちろん即購入し、夢の茗荷(だけ)サラダの食卓です。
ぽん酢にしょうが、からし酢味噌、わさび醤油から血迷ってドレッシング。
うーん、なんか違う・・・。
これが理想と現実か、と思い知りました。
もちろん茗荷には全く罪などなく、私がちゃんとわかっていなかったのです、それぞれに役割があるということを
その役割を誤れば、美味しい食卓は完成しないということを。
そしてミュージカル作品でも同じだということを、薬味から再認識させてもらいました。

稽古場に届いた差し入れの袋を、笑顔で開ける出演者|劇団カスタリア 稽古の合間
手を前に伸ばし、並んで振りを確かめる出演者たち|劇団カスタリア ダンス稽古

それからもう一つ、食卓から思い出すことがあります。
私の祖父母は、戦時中の体験をよく話してくれたのですが、現代からは想像が及ばないくらい壮絶な時代でした。
そんな体験があるからこそ、貧しい食卓にはしたくないと、お正月に集まるたくさんの家族のために、いつも山盛りのおかずと白米と飲み物とを、食卓に並べてくれていました。
そんな賑やかで明るい食卓がずっと記憶に残っています

キーボードを弾く稽古ピアノと、その後ろで歌を見守るスタッフ|劇団カスタリア 歌稽古
稽古場の床に座り、演出の説明に耳を傾ける出演者|劇団カスタリア 芝居稽古

そんなこんなで、ネタバレに気をつけながらの作品紹介そこそこに、稽古日誌なのに稽古のことを一つも書いていないので一つだけ。

いつも何度でも感じることですが、百回の個人稽古よりも、稽古場で皆と合わせる一回の稽古に価値がある、とは少々大袈裟ですが、控えめに言っても得られる経験値は計り知れません。
相手と対峙した時に動く心や感情は、稽古場でしか得られない貴重な感覚だと思います
だからこそ、自分も相手に何かを与えられるようになるためにも、準備万端で稽古場へ臨まなければならないと、仲間から改めさせてもらうのでした。

手元を見ながら段取りを確かめ合う2人の出演者|劇団カスタリア 芝居稽古
椅子に腰かけ、台本を手に出番を待つ田中あゆみ|劇団カスタリア 稽古日誌#198

寒い12月ですが、あたたかくて美味しい食卓を用意していますので、ぜひたくさんのお客様に劇場へお越しいただけますと一同喜び溢れます

この時期の公演 第9回「金曜日の食卓」

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